写真撮影の難しい部分として、露出の決め方があります。
ここでは、露出を決める3つの基本をご紹介します。
これさえ抑えておけば、失敗を防ぎ、良い写真の撮影比率がグッと上がります。
目次
白いものは、暗くなる。黒いものは、明るくなる。
カメラは、写っているものが何か理解しません。
撮る側の人間は、何が撮りたいのか、それが何かわかっています。
そこにギャップが生まれて、撮影された写真が思い通りに写っていないことがありります。
それを、カメラのせいにしないでください。
カメラは、結構頑張って撮影してくれているのです。
では、何が違っていたのか、
それは、カメラは、画面全体から入ってくる光を、中間の明るさで平均的に映るように調整しているからです。
画面上に入っくる光には明るい部分と、暗い部分があります。
その中の一番明るい光から、一番暗い部分まで、全体を見て、平均をを撮るのです。
(ほんとうはもっと複雑なことをしてるのですが、まず基本のイメージです)
簡単なイメージはこれです。
このように、真っ白なものが写っていたら、カメラは明るすぎると判断して、光を取り込む量を少なくするため、白いものが暗くなり、グレーに写ってしまいます。
真っ黒な画像だと、カメラは光が足りないと判断して、光を取り込む量を多くしてしまいます。そのため、黒ではなく、グレーに写ってしまいます。
撮る側の人間は、撮影したものに集中しているので、その周りにあるものに、あまり注意が向きません。そのために、背景にあるものが、とても明るいものなのか、暗いものなのか気づかずに撮影することがあります。
背景に真っ黒なものがあると、カメラは、全体が暗いと判断して、明るくします、そうすると、意図せず、メインの被写体が明るすぎる写真になってしまいます。
失敗例 2連発
以前、仕事でお客様から、高いカメラなのに全然きれいに写らないと苦情がありました。
そのお客様は、別なコンパクトデジカメ2機種で撮影した同じ被写体が写った写真を見せ、安いカメラの方がこんなにきれいに写っていると主張するのです。
パッと見ただけでも、明らかに該当の一眼レフの方が綺麗に写っているのです。
それは、孫の赤ちゃんを撮影した写真でした。
赤ちゃんの滑らかな肌、もこもこの暖かそうな肌着の質感、掛けてあるタオルケットのパイル地まで、緻密に描写されています。方や、一つのコンデジの写真は、白飛びしているので、肌着やタオルケットの質感は潰れていました。
もう一方は色のバランスが崩れて、すこし、青みがかっていました。
なぜ、このお客さんは、それらのコンデジの写真の方が綺麗だと主張したのでしょうか。
実は、この写真、赤ちゃん意外、全部、白だったんです。
座っていた、ベビー用の椅子、肌着、掛けていたタオルケット、全部白でした。
該当の一眼レフは、それらの白の微妙な色の違いや、質感まで、見事に描写していました。
しかし、その白に引きづられて、オートの露出が明るいと判断し、露出がマイナスになっていました。結果、赤ちゃんの顔が、他の写真より暗くなっていたのです。
コンデジの方は、中央に写っている赤ちゃんの顔を明るく写している為、
周辺の描写が犠牲になっていました。
このお客様は、孫の顔に視点が集中していたため、綺麗ではないと感じていたのです。
素材として、構図も、赤ちゃんの笑顔も綺麗に撮れていたので、カメラの仕組みと、撮影時の露出補正の簡単な方法を説明した上、カメラの付属ソフトで補正した画像を渡し、その補正値と操作方法を案内して、ご納得していただけました。
明るくすると薄くなる、暗くすると濃くなる
画像全体の露出値を上げ、明るくすると、被写体全体の明るさが上がります。
明るさが上がるということは、白に近づいていくということになります。
つまり、赤でしたら、赤い絵の具に白を混ぜていくようなイメージです。
赤に白が加わると、どんどん淡くなり、ピンクになってきます。
色が薄くなっていくので、単に明るいというより、
やさしい、とか、さわやか、とか、さみしい、といったイメージになっていきます。
暗くすると、まずは、白が抜けていきます。つまり、元の色がはっきりしてきます。
パンチのあるくっきりした絵になってきます。
更に暗くすると、今度は色に黒の成分が入ってくるので、
絵の具で黒を混ぜていくイメージです。
重厚な雰囲気を出したり、暗い描写になったりします。
紅葉の写真を鮮やかに撮る場合は、少し、露出をマイナスにしてみましょう。
色がはっきり出てきます。
また、青空の青を鮮やかにして、雲とのコントラストを強調する場合も、
露出を抑えてみましょう。
逆に、季節の花を清楚なイメージで撮影する場合は、
露出を高めにすると、可憐な表情を強調することができます。
春のさくらや、秋のコスモスなど、あまり、色を濃くしないほうが、柔らかい印象の写真になります。ただ、桜は、注意しないと、明るくしすぎると、真っ白でりんごの花みたいになってしまうので、ほどぼどに調整しましょう。
人を撮るなら明るくする
先程の赤ちゃんの写真の話にも出ましたが、
人物を撮る場合は、明るく補正するのが基本です。
ただ、それほど難しくないのは、今のカメラには、
人物モード、あるいは、ポートレートモードというのが付いている機種が多いので、
それに合わせれば、カメラが人物用にちょうどいい露出で撮影してくれます。
人物モードを使用しない場合は、一段、明るくが基本と思ってください。
あまり無いとおもいますが、たまたま、観光で武家屋敷の前での撮影になり、背景が焼き杉の真っ黒の壁だったという場合は、人物が明るすぎてしまう場合があるので、環境に合わせて調整しましょう。
もし、男性を渋く撮りたいとか、ドキュメンタリー風に重厚な雰囲気にしたいとか、サスペンスタッチに怖いイメージにしたいという場合は、ちょっと暗めにライトでメリハリをつけるという写真もありますが、これは、演出の部類になるので、一般的なスナップ写真や記念撮影では、人物を撮る時は、一段明るめが吉と思っておくと良いでしょう。
いかがでしたでしょうか
露出というと難しく感じることがあますが、
実際はそれほど微調整する必要は少ないと思います。
撮影後にモニターで確認できることが多いですし、各種グラフ表示機能のあるカメラでは、
白飛びや黒つぶれなども、その場で確認できる機能がついていたりします。
しかし、野外での撮影では、周囲が明るすぎて、
モニターがうまく確認出来ない場合もあります。
そんな時、この露出の決め方3つの基本がわかっていれば、
事前に露出補正をかけて撮影することができます。
慣れてくると、その場に立てば、ここは、マイナスにしなきゃ、とか、
ちょっと明るめに撮るかな、と、スムーズに対応できて、
画質のロスの少ない写真を撮影することができます。
親指のダイヤルで簡単に、プラス、マイナスの露出補正ができますから、
意識して撮影してみてください。
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